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東京地方裁判所 昭和40年(むのイ)73号 判決 1965年2月11日

被疑者 須田公策

決  定

(被疑者氏名略)

右の者から準抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

検察官は、被疑者須田公策とその弁護人高橋利明とを昭和四〇年二月一二日午前一〇時より午後二時まで又は昭和四〇年二月一三日午前一〇時より午前一二時までの間、

引き続き四〇分間接見させなければならない。

理由

本件準抗告の理由は、申立人提出の準抗告申立書の申立理由欄記載のとおりであるから茲に之を引用する。

当裁判所は検察官の意見を聴き一件捜査記録を検討するに、検察官の処分は弁護人の活動を著しく制限するものであると考えるので主文のとおり決定する。

(裁判官 佐藤千速)

別紙一

準抗告の申立

(被疑者、弁護人氏名略)

右の者、現在東京拘置所に勾留中でありますが、接見交通を制限されておりますので本日東京地検検事木村喬行に接見の日時の指定を求めましたところ、二月十三日午前八時から十時までの間の十五分間と指定しました。

しかし右検察官の処分は弁護人の防禦権を不当に制限するものでありますので別紙記載のとおりの日時に変更されたく申立に及ぶ次第です。

申立の理由

右被疑者は昭和四〇年一月三〇日に勾留され、二月七日、一〇日間の勾留延長をされて現在に至りますが、検察官は勾留と同時に接見交通の制限を行い、現在までに弁護人佐々木に対しては二月一日に十五分間、同月八日に十五分間弁護人高橋に対しては同月一日と同月八日に各十五分間の接見をさせただけであります。

木村検事は弁護人の接見時間延長の要求に対し、唯捜査の都合があるからと言つてこれに応じないのであります。しかし既に逮捕後十四日となつており、本件では逮捕後殆んど連日連夜の取調べで右被疑者らに対する取調べはほぼ終りちかくなつているのにも拘らず、かように接見時間を十五分という僅かの時間に制限することは正に被疑者及び弁護人らの防禦権を不当に制限するものであり、検察官の右処分はただこうした意図の下になされたものであると断ぜざるを得ないのであります。

また、検察官は右被疑者に対し、本日まで延べ数十時間の取調べを行つておりますが、そうした事件につき、弁護側には、僅か延べ一時間しか与えられていないのでありまして、この点から言つても弁護人の弁護活動が不当に制限されていることは明らかです。

従いまして申立人は前記の如き検察官の日時の指定につき承服できず、右処分は刑訴法第三九条第三項但書の規定の趣旨に反するものであると思料しますので、別紙記載のとおりに接見の日時を指定されたく、検察官の処分の変更を求めるものであります。

別紙二

弁護人高橋利明に対し

昭和四〇年二月十一日午後五時までの間に一時間

若しくは同月十二日午前十一時までの間に一時間

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